蔡鍼灸院 中国鍼灸・中国整体
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一・東洋医学について
東洋医学とは、1200年前(奈良・平安の頃)に中国から日本に伝えられた中国伝統医学のことで、日本の風土や日本人の体質などと結びつき、成り立ってきました。
漢方という呼び方は、漢の時代に書かれた《傷寒論》の処方を中心として発展してきたことに由来し、江戸時代に入ってきた「蘭方」と区別するために、そう呼ばれるようになりました。《傷寒論》は、植物や動物などの天然の薬物で治療する方法を説いています。
東洋医学は、陰陽五行、臓腑学説、整体観、八綱弁証などの理論に基づいて、漢方、鍼灸、推拿按摩、気功、太極拳、飲食療法などを用いて健康を予防し、疾病を治療する医学です。                             
東洋医学の生理、病理、診断、治療学は、西洋医学とは大きく異なります。数千年前の検査器具がない時代に、人が自らの五感を用いて四診(望診・問診・聞診・切診)によって診察し、中国古代哲学の陰陽・五行学説を応用し、生理、病理、治療などを解き明かしてきました。

東洋医学は人体と自然界が一体となっており、これを対立統一整体と言います。人体の臓腑は互いに影響しあい、制約しあいます。たとえば、心の病を抱えているときには、他の臓にも影響を与えます。一つの臓のみが病気になるということがありません。自然界とは気候、四季、地方などの環境のことで、人の健康に大きな影響を与えるため、疾病の予防と治療に大いに関係があります。

東洋医学がもっとも重視するのは病の予防(未病を治す)です。未病とは、未発生の病のことです。未発生の病であっても、例えば過食による糖尿病、過労による心病(労傷心)、過思による脾胃病(思傷脾胃)、肝病から脾胃(肝鬱克脾)へ移行します。肝と脾は密接に結びついていることから、東洋医学には、「肝病はまず脾病を治す」という原則があります。

東洋医学の教育科目には、以下のような種類があります。
 1・基礎医学:哲学・古代文学・「内経]・「傷寒論」・温病学・中医基礎学(陰陽五行学説・弁証論治など)・中医薬学・経絡学など。
 2・臨床医学:内科学・外科学・婦人科学・鍼灸学・推拿学など。
 東洋医学の核心は、陰陽五行学説・整体観・治未病・弁証論治・臓腑学説・経絡学説などにあります。 
  
一 陰陽五行学説とは
 本来、中国哲学のひとつです。「陰陽説」「五行説」といった言葉は、風水や占いなどにも応用されているので、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
・陰・陽とは、中国古代哲学の根本的概念です。
中国古代哲学家は万物の状態がすべて正と反の両面をもっていると考えました。正と反は、すなわち陰と陽です。
積極的に動くもの、外向的、上昇的、温熱的、明瞭なものなどは、陽に属します。一方、相対的に静止したもの、内向的、下降的、寒冷的、暗いものなどは陰に属します。水と火の関係をたとえにすると、水は寒性で下へ流れるので陰に属し、火は熱で上に燃えるので陽に属します。事物の陰・陽属性は、絶対的なものではなく、相対的なものです。一定の条件下で相互に転化します。

 陰陽学説では、どんな複雑な事象も、陰・陽のどちらかに分けます。臨床においては、まず陰・陽病を診断し、陰病には陽法で治療し、陽病には陰法で治療します。

二・五行とは、木、火、土、金、水の五種の物質(中国古代人の日常の生活と、その生産活動の中で不可欠な基本物質)を利用して、ものの性質を分類し、事物の相互関係を研究する学説です。
五行説は陰陽論と同様に、分類するだけではなく、事物の相互関係を説明しています。五行は相生や相克の特性があります。相生とは一つの事物が別の事物に対して、促進、助長、養成などの作用をすることです。相克とは一つの事物が、別の事物の成長と機能に対して、抑制と制約の作用をすることです。

 東洋医学では、人体に五臓六腑があり、五臓(肝・心・脾・肺・腎)と五行(木・火・土・金・水)が相応します。例えば、心は火に属します。火の特性は、炎上・温熱・上昇などです。東洋医学の心の生理機能は、血脈を主り、血液を推動します。また、神を主り、全ての精神の活動を支配しています。まさに生命の火です。その病状が火の炎上であり、燃える色は赤色です。心の亢進病状も赤色です。心機能低下の色は淡白色です。
 五行学説は人体の生理、病理、薬物の特性や調剤、診断や治療などの医学に広く応用されています。

三・弁証論治は、東洋医学の診断法です。
弁証は、四診(望診・問診・聞診・切診)によって患者の自覚・所見を収集し、東洋医学の基礎理論と八綱弁証・臓腑弁証・六経弁証等の理論に基づいて総合的に分析し、病因・経過・当面の状態・予後等を弁明します。
    論治は、弁証をもとに適確な治則・治法を決定し、治法に基づいて方薬を選択して治療を行なう過程です。
    弁証は、論治の根拠を探します。論治は、弁証の目的です。
四・整体観とは、人を全体・全面から見て考える観点のことです。
天地と人・人体と四季・人と地理・人と人・生長老死・臓腑と体表・臓腑と経絡などは、相互に関連・影響・制約されます。人は一人では存在できない、人は宇宙から離れられない、臓腑と臓腑は分離することができないということと同じことです。

五・治療原則は、「陰陽平衡」です。
すなわち「実者は瀉する、虚者は補する。寒者は熱する、熱者は寒する」。不足のもの(虚証)には補います。有余のもの(実証)には瀉(除く)します。陰病(寒証)は陽熱法で治療し、陽病(熱証)は陰寒法で治療します。陰陽の平衡を回復することが目的です。         
治療綱目は扶正と_邪です。東洋医学の古典教本『黄帝内経』では「正気存内、邪不可干。」と言っています。体内に正気が存在すれば、邪が犯すことはありません。

六・東洋医学の臓腑学説は、西洋医学の考え方とは大きく異なります。
東洋医学の臓腑は機能的な臓腑であり、解剖的なものではありません。
東洋医学における臓腑には、五臓・六腑があります。五臓は心・肺・脾・肝・腎、六腑は小腸・大腸・胃・胆,膀胱・三焦です。
例えば、東洋医学の心の生理機能には以下のようなものがあります。
   1:血脈を主する。心や脈管や血などの生理と病理に関係しています。
   2:神を主する。心はすべての精神活動を支配しています。
   3:舌に開竅する。舌の運動や味覚と関係します。
   4:心の状態は顔面の艶に反映されています。
   5:心の液は汗です。
   6:心は,小腸と表裏の関係があります。

七・経絡・_穴(つぼ)について
経絡とは、人体の気血津液が運行し、臓腑を交通し、内外を貫通する径道のことです。_穴(つぼ)とは、経絡の気が皮膚・筋肉・骨に注入する部位のことです。病気の時には、経絡・_穴が阻害して異常が顕れるので、この経絡・_穴を治療することで経絡の気血津液が正常に運行し、病を治すことができます。
    経絡・_穴は、古代、先人が発見し、数千年間、臨床に応用されてきており、鍼灸の効果は世界中でも確実と言えます。しかしながら現代の科学技術をもってしても解剖的には解明されてはいません。
    例えば、顔面の疾患に合谷穴を圧し、胃腸病に足三里穴を鍼刺し、脱肛に頭の百会穴をお灸し、尿失禁に腰の腎_穴を治療する方法などが有効です。
八・漢方薬について
長い間、人類が日常の生活の中で疾病と闘い、漢方薬は発見されてきました。食物に由来するものが多いのが特長です。すなわち「医食同湶」です。約二千年前、中国の漢の時代に書かれた「神農本草」には、365種の薬物が記載されています。明の時代に書かれた李時珍の「本草綱目」には、1892種が記載されています。
漢方薬や食物の薬効の特徴には、四気・五味・帰経などがあります。
四気は寒涼,熱温、四性ともいわれます。寒・涼性薬物は、陽性疾患、熱性病を治療します。熱・温性薬物は、陰性病、寒病を治療します。
五味とは甘い,酸っぱい,苦い,辛い,塩辛い(鹹)です。
帰経とは、薬物が治療する臓腑・経絡を示します。
例えば,抵抗力が低い時,雨に濡れた後などにかぜにかかり,寒気を感じ,発熱,汗が出ないなどの症状があらわれると、風寒証と診断されます。熱性の紫蘇、生姜、葱、葛根湯などを煎じて飲むと全身が暖かくなり、汗が出て熱が下がります。このように体が温かくなるものは熱性、あるいは温性です。


二・西洋医学について
西洋医学は古代のギリシヤ・ローマを起源として、実験法や分析法などを利用し、解剖学、微生物学、生理、病理学、薬学などを発展させました。内科・外科・婦人科・耳鼻科・眼科などに分類され、特に近代の科学の進歩と共に、電子顕微鏡やX線・γ線などの放射線、さらにMRIなどの物理的検査、酵素法やアミノ酸分析、組織化学・酵素学的染色など、化学的検索方法の発達は著しく、多くの生理機能が解明されました。さらに、細胞からDNA,分子へ細分化され、移植、培養、遺伝子治療、高度の医学検査など、凄まじく発展しています。臨床医学においても、内科からさらに消化器内科(肝臓・胃・大腸など専門科)、循環器内科、免疫内科、神経内科などに分化されています。

西洋医学は最初に光学顕微鏡を利用し、解剖医学を発展させ、化学実験から薬学が発展し、手術、抗生物質、注射点滴などの手段を利用して疾病を治療します。物理学・化学・数学の観点から検査・分析し、実験数字を重視し、疾病の原因の最小単位を研究し、疾病を完全に治るよう追求することが特徴です。

西洋医学は疾病の本態と原因を明らかにし、疾病を発見・診断し、適切な治療を行い、速やかに疾病を癒し、患者を社会復帰させます。長い間、西洋医学は人類の繁栄に大きく貢献してきました。ここ数十年で伝染病の治療や予防が可能になり、その結果、人類は56億人を超えました。
例えば、C型肝炎はC型肝炎ウイルスが血液から感染した疾病です。現在では、感染原因、検査方法・予後・経過・治療方法などがほぼ明らかにされています。

C型肝炎の自然治癒はほとんどなく、慢性肝炎から肝硬変への進展し、肝癌に至るまで進行します。感染に対して早期診断・早期治療が、現在の西洋医療では簡単にできるようになりました。検査技術の進歩により、血液からの感染も減少しました。また、感染患者はインターフエロンの治療により完全治癒率が高まりました。

医学の発展により注射・輸血などが増え、C型肝炎も増えてきました。古代の人に、感染は少なかったでしょう。C型肝炎は、感染時や慢性化の際にはあまり症状はなく、症状が表われた時には、病もひどくなっています。いま、インターフエロンで完全治癒ができる人は幸運です。効かない患者には治療法はなく、肝硬変から肝臓癌へ進行します。もう一つ、インターフエロンは治療時間が長くかかり、費用も高く、治療を受けられない人も多く存在します。今後これらの利点はますます進歩し、これらの不足部分も日々克服し続けるでしょう。

今日、多くの疾病は原因不明で、原因が分かっていても治療法や薬がありません。例えば、さまざまな症候群、癌などは原因が不明か、解明していても根治法がありません。現代は、検査を重視し、時に人の心を無視することがしばしばあります。細分化すれば、局部、DNA、遺伝子、神経内科などの専門家をたくさん育てますが、その結果、全体的な総合診断をできる医者が少なくなります。癌細胞だけ見て、患者個人や、全身状態、生命の尊厳などを無視するようなことがますます増えてくるでしょう。

近代の薬学の発展で生まれた抗生物質やホルモン剤などは、人の命を救っています。しかし一方で、病院の利益や一面的な効果だけを追求し、副作用の危険性や、患者と国の経済的負担が増えています。

西洋医学は進歩と発展によって知識が膨大となり、さらに人と疾病は千変万変であるため、一人の医者が多くの知識、知恵、経験を持つことは不可能です。臨床の分化によって専門の疾患のみを診察すると、総合的診察ができません。その結果、医療ミスが増える一方です。個人の医療技術の不足や医療ミスは、西洋医学に対する批判を引き起こします。これからは医療教育が専門の医者と総合診察ができる医者、研究者と医療技術者、多彩の人材を育てることが重要です。

西洋医学の医学体系:
「医」には医学と医療があります。すなわち基礎医学と臨床医学(応用医学)です。
 1・基礎医学:解剖学・生理学・病理学・微生物学などがあります。
 2・内科(消化器内科・循環器内科・心療内科など)・外科(消化器外科・心臓外科・整形外科など)・婦人科・眼科・精神科などがあります。

西洋医学の特徴:
1.人体の解剖(骨、筋肉)、生理(免疫・消化)・病理(炎症・変性)などが明瞭で、教育、応用などをおこないやすいです。   
2.病名が分かったら、疾病の原因・発生・経過・治療などが分かります。治療効果は重複可能であり、違う医者でも治療方法や効果が基本的に一致します。

例えば、肺結核は、原因が肺結核菌から感染し、X線写真、痰の検査で確認ができ、抗結核菌の薬を投与し有効です。
3.救急医療が進歩し、検査・診断・治療・投薬が速く、有効です。
血液検査、CT,MRIなどの検査、気管切開、静脈点滴、各種監視器械などを応用し、生命の危機から脱出できます。
4. 西洋医薬は生産しやすく、大量生産ができ、薬効が安定し、投薬が便利です。しかし、一旦副作用が出たら、深刻です。


三・東洋医学と西洋医学の結合(混合医療)
1・西洋医学は、解剖・生理・病理学などがとても明瞭で、多くの疾病で発病原因・病理変化・経過・予後などが解明され、治療法・薬などが発見されています。病名が一旦明確となれば、治療方針が確実になります。

・ 西洋医学が有効な疾患には、西洋医学で治療します。

切除可能な悪性腫瘍、予防注射、透析、外傷の手術などは西洋医学で治療します。

・ 西洋医学が有効な疾患であっても、副作用が生じたり、完治が困難な場合には、東洋医学療法で副作用を緩和・減少し、治療効果を高めます。
糖尿病、急性慢性肝炎、生活習慣病などは、西洋医学で治療しながら東洋医学を併用して、体内の廃棄物を排泄し、血行を改善し、病理反応を減少させ、健康を維持します。

・ 西洋医学が有効であるが、副作用が大きい疾病には、東洋医学から有効な方法と副作用減少法を探しましょう。
抗がん剤や放射線治療などにおいて、東洋医学によって免疫が高まり、副作用が減少し、抗がん剤の投与が継続できます。

・ 西洋医学では効果がない時は、東洋医学から有効治療法を探しましょう。
病名が不明、原因が不明、治療法がない疾患などには、東洋医学の弁証論治で治療します。

・ 症状はないが検査で異常がある疾患には、西洋医学の診断で西洋医学と東洋医学から有効な治療法を採用します。
C型肝炎や、発症前のエイズ患者には、西洋医学と東洋医学から有効な治療法を採用します。

・ 多臓腑の疾患には、西洋医学が多種類の薬物を投与し、副作用や薬費用などが問題になりますが、東洋医学を配合した綜合治療により、解決ができることが多くあります。

2・東洋医学には、整体観と弁証論治で、漢方、鍼灸、推拿などの総合治療方法があります。

・ 漢方、鍼灸、推拿などの総合治療方法は長い年月を経過して生まれたものです。副作用は少なく、あるいは副作用が認められません。

・ 東洋医学は、「天人合一」、整体観などを指導し、病だけを診るのではなく、「人」を重視します。
疾患の治療に精神・環境・気候・年齢・男女老少などを考え、最高で最優な治療法・薬物を選びます。

・ 予防医療では東洋医学を利用します。
漢方薬・鍼灸・推拿・気功などで免疫を高め、健康を維持します。漢方薬は多くの食品で、治療と予防が有効です。日本人は長いあいだ、足三里穴にお灸で疾病予防をしてきた歴史があります。気功は自己での練習が可能で、経済的かつ便利です。推拿は治療と同時に心も癒すとして、日本での重要性が高まっています。

・ 東洋医学は陰陽五行学説、弁証論治を利用し、症状があると診断がつき、治療法があります。
不定愁訴、病名不明、原因不明など、西洋医学での治療法がない時に、東洋医学は時に素晴らしい効果を発揮します。

・ 東洋医学の不足点:
・・効果の重複性が困難です。東洋医学は医者により効果が異なります。医者が異なると、同一患者に対しても診断と治療法が異なります。医療の経験が重要です。
・・漢方薬の服用の難しさです。特に煎じ薬は味が苦く、量が多いです。
植物薬は薬効が安定しません。季節、産地などにより効果が異なります。
動物薬は段々少なくなってきました。犀、虎、熊胆嚢、麝香などの捕獲が禁止されているからです。
例として、C型肝炎について西洋医学と東洋医学を検討しましょう。
西洋医学は、病の診断、確認、ウイルスの排除が優位です。東洋医学は、慢性肝炎の肝細胞の損傷を修復すること、肝硬変の繊維化、肝機能の回復、全身の状態の改善などが西洋医学よりも優位です。漢方薬の桂枝茯_丸、大黄しゃ虫丸、三七、五味子などは、臨床には有効です。
 


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